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【SS】それぞれの季節(4/6)
〜〜〜それぞれの秋〜〜〜
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ふと、アスカは思った・・・
あたしは、シンジが好きだ・・・
レイも多分シンジのことが好きだろう・・・
シンジはどう思っているのだろう・・・
前から思っていた・・・
でも聞けなかった・・・
でも知りたい・・・
そしてできれば彼女にしてほしい・・・
恋人になりたい・・・
ふと、レイは思った・・・
碇君・・・
いつも一緒にいたいと想う気持ち・・・
「好き」という気持ちなの?・・・
アスカさんは碇君のこと「好き」と言っていた・・・
でも、碇君はどう思っているの・・・
碇君とアスカさんはいつも一緒・・・
私も碇君と一緒にいたい・・・
いつまでも一緒にいたい・・・
それは、春の頃から思っていたこと。
春の頃、自分の気持ちに気付いた頃は自分にその気持ちが向いていないのでは
という不安はたしかにあった。しかし、一緒にいられればそれでもよいという気
持ちもあった。三人でもいい。実際、三人でいることが楽しかった。
以前はそのぬるま湯が心地よかった。
しかし、時がたつにつれその想いは強くなる。
シンジに向かう気持ちが強くなれば強くなるほど、シンジの気持ちが自分に向い
てくれることを強く望むようになる。
いまは、そのぬるま湯が気持ち悪い・・・
ある秋の日の放課後である。
ふだんはシンジ、アスカ、レイの誰かが掃除当番でも掃除が終わるのを待ってか
ら三人で家まで帰るのだが、この日夕飯の材料を切らしていたためシンジは先に帰
ることにした。そしてこの日はレイが掃除当番だった。
「綾波ごめん、夕飯の買い物があるから先に帰っているね」
「あっ、シンジ待って。あたしも寄りたいところがあるの。レイ、ごめんね」
「そう・・・」
レイは少し寂しそうにうなずいた。
商店街へ向かう途中、アスカは少しうつむいていたが意を決して話し始めた。
「ねぇシンジ、あたしがここに来た頃のこと覚えている?」
「うん、覚えているよ」
「ユニゾンの訓練、楽しかったよね・・・」
「うん、あの頃はよく分からなかったけど、今思い出すと楽しかったんだと思う」
「マグマの中で助けてくれたよね・・・」
「あの時は夢中だったから」
「ねぇシンジ、あたしのことどう思っている?」
「えっ?急に聞かれても・・・」
「ねぇ、キスしたときのこと、覚えている?」
「覚えている」
「あれ、ファーストキスだったの」
「え、でも」
「誰が好きでもない人とキスするっていうの?ファーストキスなのよ!
でも、あの後のちょっと傷ついた。だってシンジ『ぷはぁ』ってムードのかけら
も無いんだもの。だからうがいしちゃったの・・・」
「・・・」
「あたしは・・・あたしはシンジのこと好き」
「僕は・・・ごめん、僕はまだよくわからない」
「レイの事でしょ、わかっているんだから」
「なんで・・・」
「だって、いつもレイの方ばかり見ているんだもの」
「そう・・・、でもわからないんだ。二人とも大切だから・・・・・」
「そうよね、シンジだもんね。気長に待ってるわ」
「ごめん・・・」
「それじゃあたし寄りたいところがあるから」
アスカは本当は寄りたいところなどはなかったが、とりあえずシンジとは逆の方
へ足をむけた。
そして買い物を終わらせたシンジは公園で一人たたずんでいるレイを見つけた。
「綾波、こんなところでどうしたんだい?」
「碇君・・・」
「・・・」
「碇君、人を好きになるってどんな気持ちなの?」
「急に難しい事を聞いてくるね・・・、そうだね・・・なんていうか・・・」
「いつも一緒にいたいと想う気持ちとか」
「うん・・・、そんな気持ちかな」
「そうしたら私は碇君のこと好きなのかな・・・」
「・・・・・・えっ!」
「でも碇君、アスカさんのこと好きなんでしょ・・・」
「・・・」
「碇君、アスカさんと一緒のときが一番楽しそう。アスカさんもそう・・・」
「そうなのかな・・・。でもわからないんだ。アスカにも言ったんだけど二人とも
大切だから・・・」
「そう・・・」
「・・・」
そして二人は無言で自分たちの家に帰っていった・・・
その日の夕食は普段の楽しい雰囲気はなく、どこか気まずい空気が流れていた。
「それぞれの冬」へ続く
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