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            【SS】もしもあの時・・・
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 いま、アスカは第15使徒の精神攻撃を受けていた。

「僕が初号機で出ます!」

 しかし、シンジの申し出は却下される。

「でも、このままじゃアスカが!」
「かまわん。レイ、ドクマを降りて槍を使え」

 そして零号機は槍を取りにドグマを降りていく。

(綾波、まだなのか!)

 今のシンジには一秒でも長く感じられた。

「やっぱり僕が出ます!」

 シンジは皆の制止を振り切り初号機を起動させた。そして地上に出るやいなや弐
号機に体当たりした。突然体当たりされた弐号機ははじき飛ばされた。
はじき飛ばされた弐号機の中ではじめ何が起こったのか理解できなかったアスカだ
が、使徒の光を浴びている初号機を見たときにシンジに助けられたことがわかった。

 使徒の方はアスカに合わせていた波長をシンジに合わせようと調整していたが、
突然弐号機から初号機に入れ替わったために時間がかかった。そのためシンジに対
する精神攻撃は重大なダメージを与えるに至らなかった。

 しばらくして零号機が槍を携え地上に出てきた。そしてその槍にて使徒をせん滅
することができた。

 エヴァがケージに格納され、シンジはアスカのところに駆け寄って行った。
しばらく無言でいたがアスカが口を開いた。

「なんであたしを助けたの」
「そんなの当然じゃないか、仲間だろ!」
「はんっ、仲間ですって!そんなのあんたと優等生がいれば十分じゃない。あたし
 なんかいらないのよ!」
「どうしてそういうこと言うんだよ!」
「どうしてですって?シンクロ率が下がって使徒に負けて、それでエヴァに乗れな
 くなったらあたしになんて存在する価値なんてなくなんのよ!」
「価値がないなんてことないよ」
「あたしにはエヴァしかないのよ!エヴァに乗れないあたしなんか誰も見てくれな
 いのよ!」
「そんなことないよ!エヴァが無くてもアスカはアスカじゃないか!
 それに誰も見ていないなんてことないよ!」
「えっ」
「僕が・・・僕が見ているよ。アスカには迷惑かもしれないけど。それに僕には
 アスカが必要だよ」
「なんであたしなのよ。なんでファーストじゃないのよ」
「たしかに綾波も大切な仲間だよ。でも違うんだ。僕にとってアスカは特別な存在
 なんだ。生活の一部なんだ。僕はここに来るまで何もなかったんだ。でもアスカ
 が来てから変わったんだ。アスカと一緒にいるときどれだけ楽しかったか」
「あたしと一緒で楽しい?わがままばかり言ってるのに」
「うん。それにわがままが言えるってことはそれだけ心を開いているってことじゃ
 ないかな」
「あたしがシンジに・・・」
「だから、その、僕はアスカのこと大切だから・・・」
「ホントにあたしのこと・・・」
「アスカのこと大切だから・・・離したくない・・・」

 そしてアスカはシンジに抱きついて泣いていた。シンジはこれ以上何も言わず抱
きしめていた。


後書きと称したたわごと

 弐拾弐話放映記念で書いた作品。
シンジがもっと積極的に動いていれば話はもっと違った方向に進んでいたかもしれないと思い書いてみました。
弐拾弐話放映直前までフィルムブック見ていたおかげで大きなショックは受けなかったけれど、ショックは受けなかったことにショックを受けてしまった(火暴)

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