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              【SS】おおみそか
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 今日は12月31日、大みそかである。

 アスカにとって日本での初めての大みそかである。正月の飾りつけを見ながら心
なしかわくわくしている。そしてシンジはお節料理を作り終え一息ついていた。

「シンジ、これおいしそうな料理ね」

 アスカはそう言いながらつまみ食いしようとしている。

「あぁ、お節料理のこと。ってだめだよ、明日食べるんだから」
「ふぅ〜ん、これが『おせちりょうり』っていうやつなんだ」
「うん、アスカは日本の正月って初めてだっけ。ドイツにいたときはどうやってす
 ごしていたの?」
「・・・。ドイツにいた頃、それどころじゃなかったから・・・」

 アスカは少し暗い表情で言った。

「ゴメン・・・、何か悪いこと聞いちゃったみたいだね」
「いいのよ、それぐらい。
 それより『としこしそば』ってのも準備しているんでしょ」
「うん」
「なんか楽しみね」

 ちなみにそのころ、ミサトは既にできあがってたりする(^^;;

 そうこうしていくうちに時間は過ぎていった。シンジは年越しそばの準備を始め
ている。アスカとミサトは紅白を見ている。さらにミサトはビールをあおるように
飲んでいた。

「シンジぃ〜、まだぁ〜」
「シンちゃぁ〜ん、はっやくぅ〜」
「待っててください二人とも」

「『としこしそば』っていってもただのそばね」
「まぁね、縁起をかつぐために食べるからね」
「縁起って」
「たしか、『細く長く生きられますように』って意味だったと思う」
「へぇ〜、そうなんだ」
「あっら〜、シンちゃん若いのに良く知ってるわね〜」<かなり酔っている
「ミサトさぁん・・・」


 さて、年越しそばを食べ終えた二人はなんともなしにテレビを見ている。
ミサトはさんざんビールをあおっていたので既に寝ている。
そんなわけで今リビングにいるのはシンジとアスカの二人だけである。

「なんかこういう年の越しかた初めてだな・・・」
「急にどうしたの、シンジ」
「僕が前にいた所・・・先生の所では正月っていったってただ365日一回りした
 だけじゃないかって思っていた」
「うん」
「でも、なんかいいよね。確かにここに来て辛いことたくさんあったけど、来年は
 どんな年になるのかなって。こうやって新しい年が来るのを待っているのって」
「あたしは、早く大人になるのってずっと思っていた。一年なんてどうでも良かっ
 た。ただ早く時間が過ぎればいいなって思っていた。でも、あたしもここに来て
 良かった・・・」

 二人はいつしか寄り添うように静かに座っていた。

 どこからともなく除夜の鐘が聞こえてきた。時計はもうすぐ0時をさそうとして
いる。二人は0時になるのを静かに待っていた。

 そして0時になった。

「今年もよろしくね、シンジ!」
「今年もよろしく、アスカ」


後書きと称したたわごと

当直前夜に書き上げ、12/31になると同時にアップした作品。
大みそかにどんな感じですごしているのかな〜なんて思っていたら思いついた。
やっぱりこういう何てことない平和な日常が一番ってかんじですね。

ちなみに「正月っていったってただ365日一回りしただけじゃないかって思っていた」というのは何を隠そう私の本音だったりする(火暴)

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