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             【SS】ATフィールド
               第5話「(未定)」
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 無事再会を果たした二人。しばらくの間二人は無言でさまよい歩く。
はるか彼方には巨大綾波の顔が見える。
太陽が西に傾き空が薄暗くなった頃、二人は被害の少なそうな家を探すことにした。
そこは以前シンジと別れた後にアスカがねぐらにしていた家の近所であった。食料
の方も近くにコンビニ跡がある。しばらくの間、この場所をねぐらにして暮らして
いくことに決めた。

 外はすっかり暗くなる。シンジとアスカはろうそくの明かりを頼りにテーブルで
食事をする。食事が終わった後何もすることがなくアスカは窓から空を眺めている。
そしてシンジは天井を眺めていたが、ふとアスカの方を振り向いたとき、その腕と
頭にまかれている包帯のことが気になった。

「あの、アスカ」
「なによ」
「その包帯、しばらくの間しているようだけど交換したほうが・・・」
「いやよ!」
「えっ、でも交換しないと汚れてくるし、傷口にばい菌が入ったりしたら・・・」
「いやっ!いやったらいやっ!」

アスカは髪を振り乱しながら別の部屋へ駆けていく。

(怖いよ・・・。包帯外したとき、あたしの手が、目が・・・・・・)

アスカは部屋の隅で震えている。シンジはアスカのいる部屋に入ることが出来な
かった。

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 翌朝、シンジは居間で寝ていたが、アスカにたたき起こされる。

「あ、アスカおはよう。傷、大丈夫なの?」
「そんなことより、早くご飯の準備してよね」
「う、うん」

 アスカは気丈に振る舞うが、夕べは一睡も出来なかった事は一目瞭然であった。

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 いくら物理的被害が少なかったとはいえ、コンビニ跡からの食料の調達には限界
がある。シンジは日中の間食料になるものを探すため出かけることにした。

 その日から食料を探し求めることがシンジの日課となる。しばらくの間はコンビ
ニ跡、近所の家などを探し求めていた。物理的被害が少なかったとはいえ、全くの
無傷でもないので食料となるものもそんなに多くはなかった。

 そんなある日のこと、シンジは少し遠くまで足を伸ばすことにした。しばらく歩
いていくと遠くの方に赤いかたまりが見えてきた。

「まさか、そんな・・・あれは・・・」

 シンジはそのかたまりに駆け寄る。間近で見たとき、シンジは吐き気をおぼえる。
しばらくじっとして気分を落ち着かせるとシンジはあることを決意した。

「でも、このことをアスカが知ったら・・・
 いや、言わなければいい。今は生き残らないと・・・・・・」

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 その日の夕方、シンジは卓上コンロを利用して肉を焼いていた。
そのにおいに気付いたアスカはシンジへ話しかけてきた。

「あら、今日はお肉なの?」
「うん」
「肉なんて久しぶりね・・・。でも、なんかあんまり食べる気しないな・・・」
「イヤだったら残してもいいよ」
「ううん、大丈夫。食べるわ。でもどうしたのよ、その肉」
「え、いや、ちょっとね・・・」
「ふぅん・・・」

アスカはシンジに対し不信感を抱いたが、以前に第十使徒との戦いの直前に交わし
た会話を思い出していた。

「あのとき、ミサトが『ステーキおごるから』って言ってたわよね・・・」
「えっ」
「そして、シンジが『うわぁい』なんて大げさに喜んで・・・」
「そんなこと、あったね。でも、ミサトさんは僕のせいで・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・辛気くさい話はやめましょ。過ぎたことなんだから・・・」

 気まずい雰囲気の中、二人は食事を進めていった・・・

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 その日の翌日。シンジは食料を調達するため、朝から出かている。
肉のことを聞いたときのシンジの態度に不信感を覚えたアスカはシンジに気付かれ
ぬように跡をつけていった。しばらく歩いていくと赤いかたまりが見えてきた。
アスカはまさかと思いつつシンジに気付かれないように近づいていった。

「こ、これってまさか・・・
 そしたら昨日、あたしが食べたやつって・・・
 そんな、そんな・・・・・・」

 アスカはその場から駆け出していった。どこをどう駆けていったが分からなかっ
たが、気付くとそこは自分たちがねぐらにしている家だった。

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 夕食になり、シンジは料理の準備をしている。今日も肉料理だ。シンジが肉を焼
いているところへアスカが現れた。

「シンジ、その肉どうしたのよ・・・」
「そ、それは・・・、な、何でもないよ」
「うそ言うんじゃない!
 あんた、何て物食べさせてくれたのよっ!
 あれ、エヴァの・・・、ママの肉じゃないの!」
「ま、まさか、アスカ、あれを見てしまったの」
「そうよっ!あんた、あたしがあれに乗ってどんな酷い目にあったか知らないとで
 も言うわけっ!。あんたの存在なんかやっぱりあたしを傷つけるだけだわっ!」

 バシンッ!!

 アスカはシンジの頬を思いっきりぶっ叩いた後、部屋に籠ってしまった。

「なんで、なんであんな奴にもう一度会いたいなんて思ってしまったのよ・・・」

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 アスカはその日以来、食べ物を口にすることは無かった。現実に戻って以来もと
もと栄養の状態は良くなかったこともあり、シンジが何か話しかけても返事をしな
い。アスカはみるみるうちに衰弱していった。

 そして数日が経ったが、やはり何も口にしようとはしなかった。
この日の夜もアスカの元へ夕飯を持っていく。もちろん肉料理は無い。
シンジは衰弱していくアスカに

「ねぇアスカ・・・
 もう、あんな物は出さないから少しでもご飯食べてよ。
 このままだど傷も直らないし、本当に死んでしまうよ。
 でも、これだけは聞いて。ママは・・・母さんはもういないんだ。
 エヴァも無くなった。あれはもうエヴァなんかじゃないんだ。
 それに、トウジやケンスケ、イインチョーやみんなは戻って来ると思う。
 その時二人でみんなを出迎えたいんだ。隣にアスカにいてもらいたいんだ。
 だから、その時まで生きていこうよ・・・」

 それでもアスカの反応は無かったが、シンジはアスカのそばから離れようとしな
かった。

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 翌朝、いつの間にか眠ってしまったシンジは、アスカに起こされた。よく見ると
シンジの用意した食事は無くなっていた。

「ご飯、食べてくれたんだ」
「それよりも、包帯交換するの手伝ってくれる?」
「えっ、でも大丈夫なの」
「一人で出来るわけないでしょ。早くしてよね」
「うん・・・」

 そして、シンジは腕の包帯をといていく。アスカはその傷口のことを思い出して
恐怖して目を閉じている。

「アスカ・・・」
「な、何よ」
「傷、一つも無いよ」
「えっ」
「ほら、大丈夫だよ・・・」

 アスカはおそるおそる目を開いていく。そして自分の腕を見てみるがそこには傷
一つついていなかった。そして、頭にまかれている包帯をあわてて取り除く。
最後に左目にあてがわれているガーゼを取り除き左目をゆっくり開いていく。

「見える・・・見えるよ、シンジ」
「アスカ・・・良かった・・・」
「シンジぃ・・・」

 いつしかアスカはシンジに抱きつき泣いている。
そして、いつの間にか巨大綾波の顔と弐号機の残骸はこの世界から消えていた。


第6話「LCLの海で」へ続く

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