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           【SS】それぞれの季節(2)
            〜〜〜それぞれの春〜〜〜
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 それぞれ自分の部屋で一人暮らしをするようになり数日がたった。
夕食を済ませ、夜もふけたころ二人の少女は自分の部屋でもの思いにふけっていた。


 アスカは思った。

 新しい部屋で一人で暮らすようになって何かさみしいな・・・
 すぐ隣にミサト達が住んでいるから会おうと思えばいつでも会えるし・・・
 ご飯はいつもシンジのところで食べているし・・・
 でも・・・何でかな・・・シンジと一緒の時間が減ったからかな・・・
 何でシンジのことで頭がいっぱいになるのだろう・・・
 シンジにたくさん助けてもらったからかな・・・
 前は一人でも生きて行けると思ってた・・・でも・・・


 レイは思った。

 ここでも一人暮らし・・・
 でも前と違う・・・
 今はすぐ隣に碇君がいる・・・
 食事も碇君と一緒・・・
 私、うれしいの?・・・わからない・・・
 私、楽しいの?・・・わからない・・・
 碇君のこと考えると頭がいっぱいになる・・・
 この気持ち、なんだろう・・・


 再びアスカ。

 ファーストはシンジのことどう思っているのだろう・・・
 ファーストはいつもシンジを見ている・・・
 シンジもファーストを見ている・・・
 ファーストはシンジのこと好きなのかな?・・・
 シンジはファーストのこと好きなのかな?・・・


 そしてレイ。

 惣流さん・・・いつも碇君と一緒にいる人・・・
 惣流さん、碇君といるとき楽しそうにしている・・・
 碇君も惣流さんといると楽しそう・・・
 惣流さん・・・碇君のことどう思っているのだろう・・・
 碇君は惣流さんのことどう思っているのだろう・・・


 そのころ、我らがにぶちんシンジはというと

 一人暮らしを始めたのだから家事の負担が減るはずだと・・・(ヲイヲイ)

 二人の少女が自分のことを思っているころ、しょうもないことを考えていた。

 結局、アスカは一人暮らしを始めたからといって急に家事ができるようになるわ
けでなく、また、レイはコンビニのサンドイッチばかりという食生活をしていたた
めにシンジが三食作るはめになったのである。

 それはともかくとして、学校が始まった。疎開していた友人達は戻ってきて久し
ぶりの再会となった。

 再会を祝してシンジ、アスカ、レイ、トウジ、ヒカリ、ケンスケ達はお花見をし
ようとなった。

 アスカはこの機会にレイがシンジの事をどう思っているのか聞きたくなり散歩に
誘うことにした。

「ねぇ、ファースト。少し散歩しない?」
「どうして・・・」
「いいからいいから、少し話ししたいことあるからさ・・・」
「そう・・・」
「シンジぃ、あたし達ちょっと散歩にいってくるから」

 そのときシンジはトウジとケンスケにからまれていた。

 しばらくの間二人は無言で歩いていた。しかし・・・

「ねぇファースト、シンジのことどう思っている?」
「わからない・・・」
「わからないってあんた・・・」
「でも・・・ずっと一緒にいたいと思っている・・・」
「それって、好きってことじゃないの?」
「そうなの?・・・」
「そうよ、シンジが好きなんでしょ?、あんたはシンジの前でしか見せない顔があ
 るもの・・・」

(碇君の前でしか見せない顔・・・、どんな顔をいているのだろう・・・。
 でも、それを惣流さんも知っている・・・、どうしてだろう・・・)

「あなたは?」
「あたし?あたしは・・・好き・・・なのかな?」
「そう・・・、でも惣流さんも、碇君といるときが楽しそう・・・」

(シンジと一緒にいるときが?・・・そうかもね・・・
 そうか・・・ファーストもあたしのことうらやましく思っていたの・・・)

「ねぇファースト、あんたのことこれからレイって呼ぶからあんたもあたしのこと
 アスカって呼んで」
「どうして・・・」
「どうしてって、あたし達は友達なんだからいいわね?」
「そう、わかったわ」

 そして二人はみんなのところへと戻っていった。
そして、なんとか2ばかから開放されたシンジはアスカとレイに話しかけた。

「どこまで行ってたんだい二人して」
「どこだっていいじゃない、ねぇレイ」
「そうね・・・アスカさん・・・」
「・・・あれ?、二人とも名前で呼び合っていたっけ?」
「そんなこと気にしない!。ねぇ料理まだ残ってる?、ほらレイも!」
「まって、アスカさん・・・」

 そんな二人を見てシンジはなぜか嬉しくなった。


 その日の夜、アスカは、

 あたし、やっぱりシンジの事が好きだったんだ・・・
 ここに来てからいつも一緒だった・・・
 シンジ・・・


 そしてレイ、

 この気持ち・・・
 碇君のことを想う気持ち・・・
 この気持ちが「好き」という気持ちなの?・・・
 碇君・・・



「それぞれの夏」へ続く


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